便秘・夜尿症
便秘・夜尿症

便秘とは、排便の回数が少ない、便が硬くて出にくい、排便時に痛みや不快感がある状態を指します。一般的には、週に3回未満の排便や、強くいきまないと出ない状態などが続くと「便秘」と考えられます。ただし、排便の回数やリズムには個人差があり、毎日出ていなくても苦痛がなければ問題ないこともあります。逆に毎日出ていても硬便が少量で十分に排便できないときは便秘と考えます。
小児期の便秘は、乳児から学童期まで幅広く見られる身近な症状です。長引くと、食欲が落ちたりお腹の張りや痛みを訴えたり、時には発育に影響することもあります。日常の小さな習慣の積み重ねが関係していることが多く、早めの対応が大切です。
小児の便秘には「機能性便秘」と「器質性便秘」があります。
最も多く見られるタイプで、腸や体の構造に異常がない便秘です。便が腸の中に長くとどまって硬くなり、排便しづらくなることで悪循環が起こります。
原因としては、次のような生活習慣や心理的要因が関係します。
野菜や果物、海藻類など食物繊維が多い食材を摂らなかったり、ジュース・お菓子など糖分の多い食品ばかり摂っていると、腸の動きが鈍くなります。
睡眠不足や朝食を抜いたり、トイレに行く時間が不規則といった生活リズムの乱れが便秘を招く原因になります。
トイレトレーニングの失敗や環境の変化、学校生活のストレスなどから、排便を我慢してしまうことがあります。
便秘で受診されるお子さんの10%以下といわれています。腸や内分泌の病気などが原因で便秘が起こることもあります。
ヒルシュスプルング病や脊髄疾患など神経の異常、甲状腺機能低下症や尿崩症など代謝の異常、自閉症やAD/HD、虐待児、うつ病など発達性・行動性の異常、一部の薬剤(抗てんかん薬、鉄剤、抗コリン薬など)の副作用が原因となります。そのため、問診および診察がとても大切になります。
こうした症状が続くときは、生活習慣の見直しや医療機関での相談が必要です。
便秘改善の基本は「生活リズムを整えること」です。
自律神経の乱れが腸の動きにも大きな影響を与えます。早寝早起きや寝る前のタブレットの使用を控える、適度な運動は睡眠の質を整え、自律神経の働きを安定させます。
野菜や果物、豆類、海藻などを積極的に摂り、水分もこまめに取りましょう。朝食後のトイレ習慣をつけることも大切です。朝は腸が動きやすく、排便のチャンスが多い時間帯です。
便の硬さや腸の動きに合わせて、整腸剤や浸透圧性下剤、刺激性下剤などを使い分けます。最近では腸の水分分泌を促す新しいタイプの薬も登場しています。薬はあくまでサポートであり、生活習慣の改善と並行して行うことが理想的です。
骨盤底筋の使い方に問題がある場合には、排便訓練(バイオフィードバック)やストレッチなどのリハビリが有効なこともあります。また、痔や肛門の痛みが関係している場合には、並行して治療を行います。
便秘を放置すると、痔や便失禁、腸閉塞などを引き起こすことがあります。
「子どもだから大丈夫」と思わず、気になる症状があれば早めの相談が大切です。
夜尿は、(夜間)睡眠中に無意識のうちにおしっこをしてしまう状態をいいます。
5歳を過ぎても月に1回以上の夜尿が3か月以上続く場合を「夜尿症」と呼びます。
性差は2:1で男児に多いです。
就学前の5〜6歳で約20%、小学校低学年で約10%、10歳を超えても5%前後にみられ、中学生になると1〜3%にまで減少します。多くの場合は成長とともに自然に改善していきますが、学齢が上がるにつれて心理的な負担を感じやすくなることもあるため、早めの相談が大切です。
夜尿症は睡眠の質や膀胱機能など様々な原因が関わっています。
主な原因としては、
などが関係しています。
環境の変化やストレス、体調不良、膀胱炎などが引き金になることもあります。
また、夜尿症のお子さんは神経発達の遅れがみられやすく、家族集積性も強い(両親が夜尿症だとお子さんの発症率が高くなる)ため、細やかな問診や診察が求められます。
夜尿の頻度は毎日から週1回程度まで様々です。夜尿が減り、排尿直後に自分で気づくようになると、改善のサインです。
また、夜尿に加えて昼間の尿漏れが見られる場合(昼間尿失禁)は、先に昼間の排尿コントロールを整える治療から始めます。
夜尿症は繰り返すことで自身の体をコントロールできなかったことへの無力感、兄弟から笑われることで自信喪失、迷惑をかけるという自責の念を感じ、自尊心を大きく損ないます。
その結果、進学を含めた社会活動、精神疾患の合併や家族関係にも影響するため、積極的な治療が必要です。
問診で排尿の回数や夜尿の頻度、生活習慣などを確認し、必要に応じて尿検査や血液検査、超音波検査などを行います。
特別な異常がなければ、生活習慣の見直しと行動療法を中心に治療を進めます。
これらの工夫で多くのケースが改善します。
生活指導だけで改善しない場合には、抗利尿ホルモンの分泌を補う薬や膀胱の働きを調整する薬を使うこともあります。
夜尿症の治療で最も大切なのは「焦らず・叱らず・励ます」ことです。
夜中に起こしてトイレに連れていくのは逆効果になることもあります。
夜尿があっても責めず、「今日は頑張って早く寝られたね」「寝る前にトイレに行けたね」など、努力できたことをほめてあげることが大切です。
ご家族の方も不安な気持ちを抱えながら、お子さんの育児や治療に向き合っています。医療者とご家族との信頼関係を築くことが、夜尿症の治療においてとても大切なものだと考えております。
